大木 亜希子
1989年8月18日生まれ 

ライター/タレント。日本テレビ系ドラマ『野ブタ。をプロデュース』で女優デビュー。
数々のドラマ・映画に出演後、2010年、秋元康氏プロデュースSDN48として活動。

その後、タレント活動と並行しライター業を開始。
2015年、しらべぇ編集部に入社。PR記事作成(企画・執筆)を担当する。

2018年、フリーランスライターとして独立。

取材をしてみて、取材する前とは変化はありましたか?

取材する前と後では大きく心境の変化がありましたね。

どの子も印象深いですけど、NMBの河野早紀ちゃんは広島から上京してきて、NMBに進学校から夢を追う形で入りましたけど、やっぱり選抜システムや競争の中で葛藤があり、考えた結果、自分は裏方の方が輝くと思って卒業。

その後関西大学にストレート入学をして就職浪人をしてまでラジオ局に入りたいと思い、結果今入れている。

この話を聞く中で、めちゃくちゃ分かるなと思ったんですよね。なぜかと言うと、10代で選ばれてアイドルになってしまったけれど、本当に自分が表方をやりたいのか裏方をやりたいのかみんな分からないで入っているケースもあるなと思います。

元々自分が表をやりたいアイドルやりたいと思っていても、その考えが変わるというか、見方が変わることもあると思うし・・・。

辛い思いをしたことが彼女にとって、どれだけ大きな経験とかバネになったのかと考えると夜中泣きながら原稿を書き上げている私がいました。彼女の人生が憑依してしまうというか、「気持ち分かる」ってすごい共感しました。

お母さんになった方もいます。

藤本美月ちゃんという保育士になった方なのです。資料の写真だけを見ていて、若々しいアイドルの姿だなと思ったのに、取材先にいざ来た彼女を見たらお腹がふっくらしたお母さんの顔つきになっていて、アイドルって人生の通過点なのだなと思いました

なるほど。

私自身、元アイドルという肩書きを持っているとキラキラしていると見られたり、「元アイドルなんだ、良いね」となんとなくミーハーに見られたり、本来の自分とは違うところで羨ましがられたりする中でめちゃくちゃ生きづらさを感じている。

それは会社員になっても同じで、元アイドルという十字架を背負いながらずっと会社で働くのは想像以上に自分との戦いでした。

しんどかったけど武器になるから妙に使っちゃう。そんな事の繰り返しです。恋愛もそうですね。男の人とかグループで食事をしていると、「この子は元SDN48なんだよね」って紹介されると、それ”名前じゃねえよっ”て思うのですよね。私は大木亜希子なのに、それを言われた日にはカラオケでAKB48の曲を歌わなきゃいけないのかなって思いますし。

だから、この本の隠れテーマは”生きづらさ”です。

ー生きづらさというテーマだと、共感する人が多そうですね。

そうですね。
例えば、ハイスペック男子を捕まえなければいけない、会社でよく思われなきゃいけない、営業成績を取らなきゃいけないという、ねばならない、そうならなきゃいけないということはないよ、と強く思います。

たまには失敗して落ち込むこともあるし、アイドルという特殊な職業をした彼女達でさえ同じ経験をしていて、それでもひたむきに就活したり恋したりまた失敗したりしている。

広告代理店に入った菅なな子ちゃんは大学時代の恋のエピソードを話してくれて、「記事にして良いですか」と聞いたら「良いですよ!」って話してくれて。芸能界やアイドル界でしたらご法度かもしれないけどでも、もう一般の社会に戻られている方がほとんどなので、記事にしました。

アイドルというフィルターを通してそういう生きづらさを抱えている方の救いになりたい。

 

ー大木さん自身、楽になりました?

はい。めちゃくちゃ成仏できました。私自身アイドル卒業後も、日給6,000円ぐらいでトイレ掃除とか単発のバイトをしていました。

清掃員の格好をしてベットメイクをしていたりもしました。清掃員の格好をしている私がファンの人とすれ違った時があって、私という事に気づかない、いつも握手会であきちゃん、あーこって言ってくれる人が、全く清掃員姿の私に気づいてくれないってことが渋谷でもあって・・・。

この現象はなんだろうと思いましたし、究極の周囲と見られ方とのギャップを埋めるにはどうしたら良いのかと思っていました。

でも今は本の製作で消化できた気がします。

この本は単なるドキュメントではなくて、深いなと、本当に深いなと思いながら読んでいました。

これは私の壮大なる成仏作戦です!

この本には人生の生きづらさが詰まっています。もっと綺麗な言い方のほうがいいのかな?(笑)

元アイドルのポテンシャルを生かして次の仕事についている人もいる。私自身も「”あの人は今?”的な番組にキャスティングの候補に上がっているから出ないか?」と言われたこともあります。

企画書を見ると少しスキャンダラスな方向なものとか、アイドル時代はどうだったの?的に面白おかしくする内容のものもあって。

だから、正しく伝える、私にできることはそれだけだと。彼女たちの思いを伝えたいということはもちろんありますけど、事実はこういうことだというジャーナリズムで伝えられればそれで満足で、それ以上のことは何も思っていません。

ここまでの話を聞けるといいうのは凄いなと思います。
出ていただいた方は、元々友達だった方もいらっしゃるのですか?

友達だった人はいません。

まず口説くところから始めました。「私自身も元アイドルでした」と伝えるところから始めました。

どうしても元アイドルのセカンドキャリアというと色眼鏡で見られるスキャンダラスな方向に話の内容がいきがちで・・・。

「決してそんな取材はしないからぜひお話を聞かせてほしい」と真っ向から伝えました。

中には「私はアイドルだったということを隠して生きていて、今一般企業に勤めているのでお断りさせてください」って丁寧にお断りされることもありました。それも1人の女性の道だなと思いました。(この本の趣旨に)賛同して載っていただいた8人の方の取材の時は応対の仕方もすごく気をつけました。

彼女達はとても芯が強く繊細、だから少しでもこちらが思ってもいないお世辞を言ったり、(元アイドルだからと)決めつけるような事を聞いてしまったりすると、貝殻のように閉じてしまうと思っていたました。

正直な気持ちを伝えたいし聞きたくて。そういう思いもあって、ほぼすっぴんで取材に行きました。カメラマンさんも派遣して、撮影の時は私がレフ板を持ったりして手伝いもしました。本当に彼女たちが素敵に映るようにこちらで手配させていただきましたし、ありのままを話してほしいと伝えて、向こうもありのままを話してくれて、もう精神的プロレス1時間半みたいな取材でした。

どこまで聞いていいの?そしてどこまで話していただけるのだろうか?みたいな・・・。

今後、2冊目を出版するということは?

そこまで私がやったらおこがましいと思います。この8人の方とはご縁があって、とてもいい形で取材をさせてもらいましたけど、私自身が元アイドルとしての使命をもってこの本一冊を作ったことで良くて・・。

全然別のアイドルグループだったら勝手が違うかもしれないし、本当にケースバイケースですね。

元アイドルの苦労話と言っても、ひと束にくくれない人生がそこにはあって、その後の女性としての生き方も色々ある。

(この本を出版するにあたり)何度も「この取り組みすごいですね」と言っていただけて嬉しいですけど、私は、私も当事者として心の声を叫んでいるだけだからと思っています。

この記事を読む人に特に伝えたい事は?

誰だって生きづらさを抱えて生きているよと伝えたい。

仕事で失敗するし、周りから色眼鏡で見られる事もあるし、彼女たちもそれは同じ。だからこそ、彼女たちの気持ちを正しく伝えたいだけですね。

生きづらさを抱えている人は普通の職業の人にも多いかもしれませんね。

私も会社員になって、ストレスによって日比谷駅で歩けなくなってしまったことがありました。

リアルにいうと心療内科に通うレベルです。

元アイドルという背景が自分にはあるから頑張らなきゃって、必要以上に頑張っていたみたいです。

必要以上に頑張ると、今の時代そこでまた病んでしまうと思うので、この記事を読んでいる人たち、特に若い人達には無理に何かしなくてもいいんだなと思ってほしい。

自分に向いていることってなんだろうと考えて見つけてほしいし、それを人と競わずに見つけてほしいですね。

ぶっちゃけ私ももうサードキャリアですし(笑)。

キャリアの選び方で何か思う事はありますか?

職業をお給料だけで選ばないでほしいですね。

もちろんお金も大切ですけど。

ちょっと違うかもしれないですけど、本当に自分の好きなことをお金に換えていく形を考えてほしいというか・・・自分のようなものがおこがましいですかね?(笑)

好きな事と、就かなければならない職業にギャップがあるなと感じている人がいたら、この本を読んでほしい。

人生はどうにでもなるし、妥協で選んだ道だとしても、進んでいけばいつかは好きな職業に向かっていくものだと思うし、だから本当に好きなものを見つけるためにいろんな経験をしてほしいですね。
恋愛とかも同じかもしれませんね。自分は芸能活動をしていたのであんまり恋愛は出来なかったですけど。

 

とにかく何事にも恐れないでほしいなと。

29歳ぐらいからいろいろ経験し始めて、ヒイヒイ言いながら、血を流しながら人生を歩いている私がいると思ってほしいですね(笑)。

本当にその通りですね。ありがとうございました。

ありがとうございました。

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